修理の早道には問診が大事です


エンジン不調の964がレッカーにて入庫です。 詳しい状況は聞いてなくて、調子悪いとのことで、チェック。 確かに完全に燃焼してないような、元気無いような回り方してました。
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診断機にはたいした情報も入ってなくて特定に至らず。 まず簡単に見れる点火系をチェックしたところ、ツインスパークの片側が死んでる。 コイル、イグナイター、デスビキャップ&ローターを点検して それなりに正常に回るようになりました。
念のため納車まで数日間始動チェックして問題なかったので 遠方のお客さんだし、最後にまた一回り走っておこうと思って試乗。 すると、数キロ走ったところで、急にエンジン不調、そしてストール。 再始動するもアイドリングもままならず、路肩に寄ってエンジンルームを覗き込んで見ても 点火系は正常だし、なんだろうな?新たな故障か? 急なアクセルワークはダメだけど、優しく少しアクセル踏んで走れることがわかり、 なんとか帰社しようと頑張ってると、これまた急に調子が戻って 何事も無かったかのように走れるようになり、がっかり・・・・・・ 調子良くなったのになぜがっかり? だって症状出てないと原因箇所がわからないじゃないですか。 修理屋にとってとにかく症状が出てることが1番大事なんです。 で、この964それ以降全く完調に走り、症状出ず;;;
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点検してる中で、燃料系に関係してるDMEリレーがかなり熱くなってるなーと感じました。 温度測ると80℃もあります。 ある程度熱は持ちますが、けっこう高温になってますね。 お約束のDMEリレーが悪いのかな?見た目は新しいけど。
パーツの交換歴などを聞くために、オーナーさんに電話して、 詳しい整備歴や、これまでの不調の話を問診しました。 いつ、どこで、どんな風に、どんな感じで、どうなりました?的な問診を。 すると、最初から言ってた不調はどうも燃料系不調のような感じの話なんです。 入庫時に調子が悪かった点火系の不調は別物で、そこに先に気が付いたもんだから オーナーさんの言う「不調」 は直ったものと思い込んでたのです。
DMEリレーの温度が高いので、もしかしたら燃料ポンプが悪いのかも?
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燃料ポンプは車体下のカバーの中に付いてます。
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ずらして取り出して、端子のゴムカバーをめくってみると・・・・ 動画参照です。
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ナットはある程度締まってるけど、端子はするすると動きます。 どうやらここの接触不良が原因で、接触抵抗が増えて電流が多く流れて DMEリレーを加熱させてるのに加えて、更に接触が悪くなった時に ポンプ回転に影響が出て燃料流量が減り、エンストやアイドル不調、 急なアクセルに反応せず、緩い走りだけできてたのだと理解できました。
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端子を締めなおした後のDMEリレー温度は58℃ 22℃下がった計算になります。 不調の現象は1回だけで、その後は全く症状出なかったので 今回の整備で直ったかどうか?の判断は納車後の話になりますが あれから再発の連絡は入ってないので、現在直ってると思われます。 トラブルの問診をいかに詳しく聞いて修理につなげるかが大事だと 実感した今回の修理でしたね。
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リレーはある程度熱を持ちますが、異常に熱いとなると 何かトラブルを抱えてると思われます。 by zako
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